玄宮園十勝

一服の薄茶いただき見返れば天守はくまなき夕映えの中(鳳翔台)
緲渺と吹雪く無為なる時をおり入り縁側のてすりにもたれ(臨池閣)
河骨の花のめぐりを音もなくさざれ波寄るやわらかき夏(魚躍沼)
龍神の背(そびら)は広し柔らかき光あふるる橋渡りゆく(龍臥橋)
渚辺にたつ鶴石は首延べて初日のひかりにさわに鳴きおり(鶴鳴渚)
若駒のもはやここにはあらぬ世に瓢(ひょん)の実を吹く音透りくる(春風埒)
ひっそりと池に浮かべし舟に見る山際すでに繊き月あり(鑑月峰)
池の面に枝さしのべて青もみじ水の深みの影と揺れあう(薩埵林)
板橋の下は石組枯れ流れ音はずみくるまぼろしの水(飛梁渓)
はるかなる時のはざまにほしいままもみじ落ちきてくれない刻す(涵虚亭)








